分析ニーズと定型ニーズ

BIの提案・構築へのコンサルティングをしていて、ちょっと説明した内容を
備忘録的に書いておこうかと思います。

BIの利用・活用では、大きく分けて3つの用途を意識的に分けて考える方が、
システム全体の構成がうまくまとまります。

ひとつ目は、定型分析
ふたつ目が、自由分析
最後には、業務との連携


定型分析
これは、経理財務でいうところの、制度会計帳票=損益計算書貸借対照表
思い描いてもらえればいいと思います。
一般的に経理をある程度わかっているという程度の人(部門の長や経営TOPなど)は、
 『自分の管轄している組織は、儲かってるのか・損してるのか』
 『経費は適切に使われているか』
といった課題に対して、損益計算書貸借対照表といった定型の帳票(集計)で把握します。
問題点があれば、これを伝票レベルまで掘り下げて、
 『どの取引が問題の原因か』
を突き止めようとします。
これは、
 ☆☆決まったレポートで全体を俯瞰する☆☆
 ☆☆定型的な分析ルートで原因を調査する☆☆
というプロセスになります。
このように「決まったレポート」「定型的な分析ルート」を実現するニーズが定型分析ニーズです。

自由分析
制度会計帳票に対して、キャッシュフロー(一般的なCFはすでに定型化されていますが)などは、
定型的な分析ではなく、制度会計のいくつかの科目を、独自の計算式で割り出して計算します。
一般的なCFでは、含めるルールとなっている科目であっても、会社の特性として
含めるべきではないと判断できれば、含めないで計算したくなります。

このように『データの内容を熟知している人』が、『全体の中から、都度、目的・意図・思考を持ってデータを集計する』という業務が、自由分析です。
これは、
 ☆☆目的を持ってデータ集計ルールを考える☆☆
 ☆☆集計されたデータから問題点や特異点を見つけ出す☆☆
 ☆☆問題点・特異点に対して様々な角度から原因の仮説を立てる☆☆
 ☆☆立てた仮説を検証するために新たなデータ集計ルールを考える☆☆
といったプロセスとなります。

業務との連携
分析のニーズは、BIシステムに閉じた世界の話です。
しかし、分析により得られるデータは、別のシステムや業務にフィードバックされて
初めてその価値が発生します。
予算を立てても、それを眺めているだけでは、『とらぬ狸の皮算用』であって意味がありません。
予算を達成するために頑張る人(営業担当や店長さんたち)に提示して、その予算を目標に
努力してもらって、初めて意味が出てきます。

業務活動で、必要となる情報を適切に提供するニーズが業務との連携ニーズです。


システムへのニーズをこの3つの観点で整理し、それぞれをどのような形で実装・提供していくかという
システム(思想)設計を最初に検討しておくことは、BI成功へのひとつの秘訣といえます。


SQLServerBIでの設計を考えると
定型分析ニーズには・・・ReportingServicesが最適
自由分析ニーズには・・・AnalysisServicesが最適
業務との連携は・・・ReportingServicesが最適だが、自動化は決して得意ではない
という特徴があります。

このニーズを見誤ると・・・
 ニーズは自由分析なのに、ReportingServicesだけでやろうとすると・・・
 何とか別ごとに数十〜数百もの似たようなレポートを作成することになります
 ニーズは定型分析なのにAnalysisServicesを使おうとすると・・・
 細かな、(下手をすると各レポートごとの)キューブが量産されて、工数も嵩みますし、
 統合された情報活用が阻害されることになります。

最初のニーズを、(ユーザーの意見を鵜呑みにせず)見極めて、ニーズを整理しましょう。

ではでは